針穴日記

見たり聞いたり思ったりしたことなどをちらほらと。

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「ポンペイ最後の日」を2種類

ポンペイ最後の日ポンペイ最後の日
(1962/04)
ヴルウェー

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タイトルだけは昔からよく知っていたけれど、読むのは初めて。
主人公は富裕なギリシア人グローカスと、絶世の美女アイオンだが、彼らに仕える盲目の奴隷少女ニディアに肩入れして読んだ。

この訳は、なんと原文の半分ほどの縮訳だそうで、あとがきによると、ポンペイの風俗、習慣などの描写を削らざるを得なかったそうだ。でもじつはそういう部分こそ読みたい。なんとなれば、削られずに残った風俗描写がかなりおもしろかったので。

そして半分にカットされたせいか、登場人物の関係やそれぞれのエピソードがちょっと不自然だったり、あるいは唐突だったりする。
物語自体はひじょうに面白いと思うので、一度全訳を読んでみたい。(あるんだろうか。)

初版が昭和37年。これは第7版だったが、それにしては誤植の多さが気になった。
とはいえ、現在入手できるリットン卿の『ポンペイ最後の日』の邦訳は、じっさいのところこの本だけのようなので、貴重ではある。

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ポンペイ最後の日 (講談社青い鳥文庫)ポンペイ最後の日 (講談社青い鳥文庫)
(2001/05/25)
エドワード ブルワー‐リットン

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こちらは子供向けの「青い鳥文庫」なので期待はしていなかったが、上記の中央出版社版よりさらにダイジェストだった。
キャラクターそれぞれの関係もあっさりしたものだし、紙数の制限があるためだろう、とにかくあまりに目まぐるしく展開するので、話についていくのがたいへんだ。
ただし中央出版社版では割愛されている部分がこっちで読める箇所もいくつかある。
たとえば敵役のエジプト人がイシス女神に祈ると女神像の目が光った、という魔術的描写など。

この本は絶版になっていたので、図書館で借りた。
  1. 2010/07/19(月) 22:30:14|
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天平の甍

平城京遷都1300年ということで、昨年あたりからテレビでもちょくちょく関連のドキュメンタリーやドラマをやっている。
4月にやっていた吉備真備を主人公にしたドラマ『大仏開眼』は、後半部分が駆け足だったけれど、なかなか楽しめた。道鏡が出ないのはびっくりだが、石原さとみ演ずる阿倍内親王がかわいかったし。

そんなこんなで、ふと映画の『天平の甍』を思い出した。
ずいぶん前にテレビでやったのを見たっきりだ。これは未だDVD化されていないようだ。
Youtubeに当時のテレビ放送を上げている人がいたので、久しぶりに見てみた。
月曜ロードショーの荻昌弘さんの解説付きで、ひじょうに懐かしい。


ということで原作も読んでみた。
天平の甍 (新潮文庫)天平の甍 (新潮文庫)
(1964/03)
井上 靖

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読んだのはこの文庫じゃなくて、昔の集英社の日本文学全集の一巻。

遣唐使として唐に渡った留学僧たちが、それなりの制限や監視はあったにせよ、わりと自由に動いているのが意外だった。唐で何をなすべきかを到着してから考えたり、唐の国内を托鉢して歩く者、日本に帰る船にすぐに乗船しようとする者もいれば、30年も唐に居つづける者もいる。現地の女性と夫婦になってしまう僧もいる。
何を学ぶのかは人それぞれというかんじで、仏の教えが根底にあるのと、その責任の重圧を除いてしまえば、学問の道に悩む主人公たちの姿は、現代の留学生とあまり変わらないのかもしれない。

そして主人公は鑑真和上を日本に招くことを目的に奔走するのだが、一筋縄ではいかない苦労が待っている。
遣唐使船は四隻出して一隻でも唐に着けばいいという考え方だったそうで、嵐に遭わず無事に着けるかどうか、日本に生還できるかどうかは運まかせ。

正確な経文を日本に伝えるため、写経を作ることだけに生涯を注ぎ、その経文ごと海に沈んでしまった僧が記憶に残る。
  1. 2010/06/20(日) 23:20:28|
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テメレア戦記3

テメレア戦記III 黒雲の彼方へテメレア戦記III 黒雲の彼方へ
(2009/12/26)
ナオミ ノヴィク

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ナポレオン戦争の時代に、ドラゴンたちが空軍として活躍するというファンタジー。

前巻でドラゴンに対する英国と中国の扱いの差を見たテメレアは、ドラゴンの自由と権利について考えるようになる。このことはこの巻にも頻繁に出てくるので、今後の展開に深く関わってくるのだろう。

2巻はちょっと沈鬱なムードだったけれど、3巻ではストーリーが目まぐるしく展開する。娯楽要素が満載で、唯一足りないのは恋愛だけか。と思ったけど、その分はドラゴンのテメレアと担い手のローレンスの鉄壁な信頼関係で補って余りある。

緊迫した展開の中に、ときおり笑える要素もあるのがいい。
テメレアの空気を読まないストレート発言に周囲がひやひやしたり、エミリーとダイアーの見習いコンビの活躍もほほえましい。
新しく登場したドラゴンのイスキエリカのはちゃめちゃぶりもお気に入りだ。日本語訳のうまさもキャラの個性に一役買っている。
  1. 2010/03/10(水) 04:04:34|
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お伽の国-日本

お伽の国‐日本―海を渡ったトルストイの娘お伽の国‐日本―海を渡ったトルストイの娘
(2007/05)
アレクサンドラ トルスタヤ

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文豪トルストイの末娘アレクサンドラの手記を読む。
革命後のソヴィエトから日本に講演の名目で脱出、二年近くを過ごしたのち、アメリカに亡命するまでの滞在記録。

見るもの聞くものがすべて新鮮だったようで、日本の独特の匂い、日本髪、着物、提灯、下駄の音、はては自転車に片手で乗る出前持ちにさえ目を輝かせている。それらはロシア人の著者にとってファンタジーの世界なのだ。

時代というものもあるのだろうが、日本文化に接したアレクサンドラの驚きがよく伝わってくる。
そこにはいくぶん誇張と誤解もあるけれど、現在では失われつつある日本人の文化や所作、考え方などの美徳が表現されている。
職人の仕事の質とスピードに感嘆し、農村で働く人びとに敬愛のまなざしをおくるところなど、さすがはトルストイの娘さんだなと思う。
その一方で、日本人は物事を決める際に優柔不断になるなどの欠点も指摘し、せっかくの桜の花見に酔漢が多いことに呆れ、長男が家業を継ぐことにいささかの選択の余地もないことに驚き、「えた」と呼ばれ差別される人々がいることに疑問を持つなど、観察眼の鋭さも、やはり父親ゆずりなのかもしれない。

アレクサンドラはアメリカに亡命後、父トルストイの思想を実践し、1979年、95歳で亡くなったそうだ。
  1. 2010/02/11(木) 03:04:50|
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パーシー・ジャクソン

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈5〉 最後の神パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々〈5〉 最後の神
(2009/12/25)
リック・リオーダン

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いよいよ最終巻。読者を飽きさせないテンポのよさは健在。
このシリーズは『ハリー・ポッター』の読者からは二番煎じのように言われるだろうし、確かに類似点は多いのだが、読んでみるとよくできているし、面白い。
今回は特に最終決戦ということもあって、スケールが大きかった。『イーリアス』の有名なエピソードをうまく盛り込んであったりして、ギリシア神話好きならニヤリとするような設定がたくさんある。

もうじき映画が封切られるが、主人公たちの年齢設定がずいぶん上になっちゃってるみたいだ。
しかし今の段階だと、あの予告編はネタバレになるんじゃないかな。いいのかな。
  1. 2010/02/07(日) 00:30:26|
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終着駅 トルストイの死の謎

終着駅 トルストイの死の謎終着駅 トルストイの死の謎
(1996/12)
ジェイ パリーニ

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82歳という高齢で妻と家庭と財産を捨てて家を出、寒村の駅で病死したトルストイ。この本はその晩年のトルストイと彼をめぐる人々、妻ソフィヤ、高弟チェルトコフ、娘サーシャ、秘書ブルガーコフらの手記という形で構成されていて、どこまでが著者の創作かは判然としない作りになっている。
おもしろい試みだとは思うが、純粋な「伝記」ではなく、テーマは別なところにあるので、ここに書かれているのぞき趣味的な事柄も鵜呑みにするのは危険。
とにかく一家のセックスに関する描写が多すぎて、正直なところ辟易した。
なにか悪意すら感じるし、わざわざ歪めて伝えているように思えるのだが。
トルストイ自身の日記は日本でも翻訳されているけれど、夫人や秘書の日記はロシア語でなければ読むことはかなわず、ふつうの読者には真実がわからないのも問題だ。

実際のところ、トルストイのいわゆる回心後の運動や思想(徹底した非暴力と自己犠牲)を知っていないと、この本の内容には戸惑うかもしれない。
当時のトルストイの人気はロシア国内にとどまらず、世界的にたいへんなもので、大衆が小説家に向ける尊敬も今のそれとは違っていたようだ。トルストイの場合は『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』の作者としてだけではなく、隣人を自分以上に愛せよと説くその思想が愛されていて、日本にもトルストイ主義に惹かれた人たちが大勢いて、彼の教えを実践しようとしていたそうだ。

自著を民衆に安価な形で読んでほしいと考え、著作権を放棄し、自身のもつ財産を貧しい人たちに分け与えたいと願うトルストイに最後まで反対していたのはソフィヤ夫人だ。
そのソフィヤ・アンドレーエヴナは、俗に「世界三大悪妻」の一人に数えられているけれど、異常なほどの嫉妬深さを除けば、あくまでも一家の将来を案じる、現実的な物の見方をする普通の人だったのだろう。
この本には書かれていないが、皮肉なことにトルストイの死後、その著作は革命後に国営の出版社の手に渡ってしまい、貧しい民衆には手が届かない価格となってしまったし、あれほど著作権にこだわった夫人の手元には何も残らなかったそうだ。

トルストイはひじょうに筆まめな人で、たとえば河出書房のトルストイ全集には『妻への手紙』と題する巻があり、その解説によると、トルストイが夫人に宛てた手紙だけで800通以上もある。
そこで言えるのは、どんな聖人であっても、もしトルストイのように本人の日記や書簡、周囲の人びと(新聞記者や作家を含む)の細かな日常の手記が膨大に残っていれば、嫌でも俗な部分が見えてくるだろうということだ。
この本は、その俗な部分を必要以上に大きく書いているように思える。あるいはエピソードを「創作」という形で「捏造」している可能性もあるのではないか。

ところで、この本を原作にして映画化された『ラスト・ステーション』にソフィヤ夫人役で出演したヘレン・ミレンは、何かのインタビューで「トルストイは女性を見下している」とか言っていたが、おそらくこの原作小説を読んだだけの感想なのだろう。
  1. 2010/01/29(金) 01:16:50|
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ブログ本

狂乱西葛西日記20世紀remix狂乱西葛西日記20世紀remix
(2009/09/09)
大森 望

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SF翻訳家、書評家の大森望氏のウェブ日記。
ここ最近、ブログ本の出版がちょっとしたブームのようになってるけれど、ある意味真打登場というかんじか。
なにしろ大森さんの日記は、現存するブログとしては日本最古のものになるらしい。
そのブログの最初のほう(1995~2000年)をダイジェストにしたのがこの本。
ウェブ上でも読んではいたけれど、改めて読むと本当によくあちこち動いてる人だなあという印象。
しかし登場人物が700人以上って、交友関係がハンパないね。

じつは大森さんとは何度か会ったことがあるので、この本に私の名前もほんのちょこっとだけ出てきたりする。
  1. 2010/01/27(水) 01:01:25|
  2. 読書
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