針穴日記

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ベオウルフ

『ベオウルフ/呪われし勇者』(原題:BEOWULF)の立体上映を観てきました。

ベオウルフimg024

この映画、『300』のように、CGと実写の合成だと思っている人が多いみたいですね。
実際は役者の動きをキャプチャーして、その後に100パーセントCGで作られた映画なんですが、CMでもそのあたりをはっきり言及してないのは、生身ではないと言ってしまうと客が入らないと踏んだのか、あるいはアンジーが実際に脱いでると思わせたほうが売りになると思ったからなのか。

それと、上映しているスクリーンが、通常のものと3Dのものの2種類がありますが、それもほとんど宣伝してませんね。

ただし「通常版」といえるのは、この映画の場合は、むしろ3Dのほうです。
最初から立体を想定して作られたものなので、画面を存分に楽しむためには、多少上映館が遠くとも、迷わず3D版の映画館に行くべきでしょう。3D版は2千円の特別料金だし、映画の日などの割引きがいっさい使えないのがツライところですが、だいじょうぶ、画面から受ける興奮度を考えると全然高くないです。ついでに、ドラゴン好きな人も絶対3Dで観るべし。

ただ、日本では3Dを上映できる場所が極端に少ないのが残念です。韓国などでは3Dデジタル対応の映画館が急増しているらしいので、日本も様子見などせずに、どんどん増やしていってほしいですね。

たとえるならば、「とびだす絵本」を実際に手にとって見るのが3D。
普通のスクリーンは「とびだす絵本を写した写真」を見ているようなものじゃないかと。

立体映像はとにかく臨場感がすごい。奥行きのあるタイトルロゴが出ただけで、顔がニヤニヤしてしまうのを抑えようがありませんでした。
特にカメラ位置がローアングルになると、その場に自分が居合わせているかのような気分を、何度も味わえました。
たとえばフロースガール王が床にばらまく硬貨は、思わず手を出して拾いそうになったし、ベオウルフの船が海岸に到着したときの砂利は顔に当たりそうになるし、傷ついたグレンデルが横たわる不気味な湖水には、自分が浸かっているような気になるし、猛スピードで空中を移動しているときにかすめる木々の梢は、ついつい右に左に避けたくなるしで、とにかく奥行きを強調した画面が多いために、ある種のアトラクションに参加しているような楽しさがありました。

人物がロングのときは、部分的にオーバーな動きだったり、動きに溜めがなかったり、重力が足りなかったり、まだまだいかにもCG臭い部分が出てしまうことがありましたが、この手の作品が今後も増えてくれば、そのへんもどんどん改善されていくんじゃないでしょうか。


ストーリーは元の叙事詩からしてわりあい単純なものなのですが、映画として観るときに筋が通ったものにするために、大きな改変がなされています。ベオウルフは故郷に帰らないし、ネタバレになるから詳しくは書きませんが、「怪物」の正体、というか出自がはっきりした話に作り変えられてました。それによって、原典では分断されている印象の前半部分と後半部分が、映画ではうまくつながって、自然な流れになってます。
ただ、これはこれでうまいなあとは思うんですが、英雄物語がもつ単純な魅力が、若干損なわれたきらいもありますね。有り体にいうと、この映画のベオウルフは、人間臭く、ちょっと俗っぽい印象です。

グレンデル退治のシーンは、かなりリアルなものになってました。ベオウルフは人一倍機敏な動きで暴れまわるけれども、原典にあるような「三十人力」のスーパーマンというわけではなく、一人の屈強な男として描かれてました。素手で腕をもぎとるような神話的な豪傑のシーンを期待していたんですが、これはそういう映画ではないんですね。

そういえば、日本にも渡辺綱が茨木童子の腕を切った話が『太平記』や歌舞伎にありますが、あれなどは『ベーオウルフ』のモチーフによく似てますね。ベーオウルフではグレンデルの母親が腕を取り返しに来ますが、綱の話では、鬼が養母の姿に化けてやってくる。その後、結局退治されてしまう運命も似ています。(映画では違ってますが)


ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉 (サトクリフ・オリジナル (7))ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語―サトクリフ・オリジナル〈7〉 (サトクリフ・オリジナル (7))
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原典の邦訳は岩波文庫からも出てますが、このサトクリフが再構成したものは、読みやすくておすすめ。
映画でも、たとえばベオウルフが名剣フルンティングを受け取るシーンなどは、サトクリフ版の影響が強いように思いました。
  1. 2007/12/10(月) 23:33:24|
  2. 映画/テレビ
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