針穴日記

見たり聞いたり思ったりしたことなどをちらほらと。

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最近読んだ本

トロイア戦争を題材にした小説を何冊か読んだので、まとめ書き。
人物名などの長音表記は、それぞれの著作に合わせてあります。

『トロイア戦争物語』
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バーナード・エヴスリン著 喜多元子訳 教養文庫
若い人向けに読みやすくまとめてあります。パリスの審判からトロイア陥落までをカバーしてあるので、ラスト近くはかなりの駆け足でした。
神々の戦争への介入は、そのまま神々の行為として描かれています。
こういう叙事詩に神話的要素が入るのは苦手だという人がいますが、私はまったく逆で、神話的要素を排除したり、ことさらに現実のものにすり替えるようなやりかたのほうが味気なく感じます。その点でこの本はけっこう気に入ってます。が、ちょっと脚色しすぎに感じる部分もいくつかありました。
教養文庫なので絶版です。



『新トロイア物語』
20070429120113.jpg

阿刀田高著 講談社文庫
トロイア戦争からローマの建国まで、つまり「イリアス」から「アエネイス」までをひとつにまとめた長篇歴史小説。主人公はトロイア側の武将アイネイアス。リアルな描写なので、神々の出番はありません。アイネイアスは女神アプロディテの子として育った英雄ですが、この小説ではそのあたりを合理的に説明してあって、おもしろく読めました。「トロイの木馬」も作者ならではの解釈がなされています。当時の風俗風習などは想像で補わなければならない部分がほとんどなのだろうけれど、じつに生き生きと描写してあり、楽しめました。
読後はしみじみと心地よい余韻が残ります。
これも絶版です。



『ファイアーブランド』
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マリオン・ジマー・ブラッドリー著 岩原明子訳 ハヤカワ文庫
こちらは女性の側から、細かい部分まで冷静な目線で書かれたイリアスです。主人公はトロイアの王女カッサンドラー。
神々の介入部分はすべて現実の出来事に置き換えてあり、たとえばアキレウスに武器が通じないというのは、彼だけが銅ではなく鉄の鎧を着ているからという設定だったりします。メネラーオスとパリスの決闘で、アプロディーテーが介入してパリスを助ける部分などは、かなりこじつけてあったりしたけれど、おおむね納得できました。

しかしパリスをはじめ、登場するほとんどの男が阿呆のように描かれていて、へクトールすら、妬みや功名心のある嫌なやつになっているんですが、それがかえって男たちを類型的に見せてしまっていて、感情移入できませんでした。
それにしてもカッサンドラーがイライラしっぱなしなのは、彼女にばかり女性を代表させようとしたせいなのか。作者の苛立ちを代弁させすぎの感も。

最後のエピソードはとってつけたようだったし、所々でわざと善悪ひっくりかえすようなことをしているのも、あまり成功しているように思えません。

ただ、へクトールの亡骸返還のくだりでの、カッサンドラーの考え方は同意できます。
アキレウスが遺体を引きずり回すことを嘆く王家の中で、カッサンドラーだけは、何をされようともこれ以上へクトールが損なわれることはないことを知っている。なぜなら巫女であるカッサンドラーは、へクトールの魂がすでにからだを離れて安らいでいるのを知っているから。「葬儀を重んじるのは、へクトールでも神々でもなくて、わたしたちなんです」と、母であるヘカベーを慰めようとするけれど、カッサンドラーの言葉が周囲に受け入れらることはない。まあこれは現代でも受け入れ難い考えでしょうけど、私は共感できました。

これまた絶版。



『ペネロピアド』
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マーガレット・アトウッド著 鴻巣友季子訳 角川書店刊
女性の目から見た『オデュッセイア』。
オデュッセウスの妻ペネロペは、夫の帰りを20年も待ち続けた貞淑な女性として名高いけれど、果たしてそれは真実なのか。
この本のペネロペは現代の我々にむかって、黄泉の国から思い出を語っていきます。しかしそれとてどこまでが本心なのか。ペネロペの貞淑さ、機転の利いた策略の本意がはたして伝説どおりなのかは、誰にもわからない。オデュッセウスの様々な冒険譚も、神話的なベールを取り払えば、現実的な見方ができるのと同様に。

塩野七生にもペネロペの視点で書いた『貞女の言い分』という短い話がありますが、そこでもオデュッセウスは多情な寄り道男ということになっています。

本家『オデュッセイア』を読んでいて気になるのは、オデュッセウスの帰還後に処刑される召使いの女性たち。
これは現代とはモラルや考え方が違うんだと思って読んでも、どうもひっかかります。
サトクリフの再話『オデュッセウスの冒険』でも、召使いたちの首吊り処刑シーンはスッパリと削られています。

『ペネロピアド』では、そのあたりを追求しています。
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  1. 2007/04/29(日) 12:12:29|
  2. 読書
  3. | コメント:0

二巻

以前お知らせした電子ブックですが、
ボンデージフェアリーズの2巻も発売されてます。
こちら

3巻も近いうちに出る予定だそうです。

詳細は決まってませんが、『フェアリーフェティッシュ』と『フェアリークリニック』の電子書籍化の予定もあります。

私は会員登録してないので、自分の絵がどんなふうに見えているのかわからないんですが、サンプルページを見る限りでは、けっこうきれいに見えるもんですね。
  1. 2007/04/20(金) 05:10:10|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

試写会に行ってきました

300.jpg

きのうは丸の内にある東商ホールでの『300/スリーハンドレッド』の試写会に行ってきました。

いやあ、迫力あったですよ。
チラシには

「300人VS1000000人、真っ向勝負!」

なんてコピーが踊っております。

紀元前480年、ペルシア王クセルクセスが大軍をひきいてギリシアに攻め込んできたときに、数からして圧倒的に不利なスパルタ兵たちが、テルモピュライの狭隘な土地を利用して迎え撃ったという史実を元にした話です。
実際はペルシア側の軍人はそこまで多くなかったろうし、ギリシア側も他の都市からの友軍もいたので、最初は数千人規模だったそうですが。

ただこれ、歴史ものというよりも、純粋にアクション主体のエンターテインメントだと思って見るべきですね。
娯楽作だと割り切ればおもしろい映画でした。
殺陣はド派手だし、どの場面でも漫画を見ているかのような「決め」のポーズがピタリとはまってかっこいい。

しかしペルシア側の兵士のいでたち、ものすごいです。

おまえはモルドールから来たのか?

と問いたくなるような人間離れしたキャラがわんさか。
そういえばイランからは「反イランのハリウッド映画」だという抗議があったそうですが、まあ造形的な面だけでもやりすぎちゃってる感はありますね(^^;

一般公開は6月9日からです。


同じテルモピュライの攻防を扱った小説『炎の門』のほうも映画化される予定だったのが、立ち消えになってしまって残念です。個人的にはこっちを映画化したものを見たかった。テレビのミニシリーズででも作ってくれないかな。
『トロイ』のときもテレビ版ありましたね。トロイはじつはシエンナ・ギロリーがヘレネを演じたテレビ版のほうが全体のまとめかたがじょうずで、ある意味では劇場版より楽しめる出来だったので、『炎の門』もいつか丁寧に映像化されたらいいのにと思います。
いや、考えたら過激なシーンが多いからテレビには不向きかなあ。
  1. 2007/04/19(木) 16:54:38|
  2. 映画/テレビ
  3. | コメント:0

電子書籍

DMMというところで『ボンデージフェアリーズ』の電子書籍が買えるようになってました。
とりあえず今は1巻のみ。こちら。

それにしても、これから「漫画」ってどういう形になっていっちゃうのかなあ。

ブラウザで読んでもらうのを前提に描くのなら、漫画の描き方を変えていく必要があるような気もします。
縦よりも横に広い画面で描いたほうがいいんじゃないかとか、
台詞はむしろ横書きのほうが読みやすいんじゃなかろうかとか、
やっぱり色がついてないとつまんないんじゃないかとか…。

いろいろ考えさせられますねえ。
  1. 2007/04/11(水) 00:49:00|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

匂いフェチ

『パフューム -ある人殺しの物語-』
20070407195959.jpg

ほとんどの映画館が最終日だったので、きのうあわてて観てきました。

並はずれた嗅覚を持った男の話なので、目に見えない「匂い」をどう表現するかが映像化のカギだったわけですが、これがうまいことできてました。匂いをCGで描いたり、画面にエフェクトをかけたりというありがちなことは一切なしで、カメラと音で匂いを表現。音楽がこれまたすごい。大音量で音楽聴くためだけでも映画館に行く価値ありってかんじです。

主演のベン・ウィショーは、『ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男(Stoned)』でキース・リチャーズを演じてましたが、癖のあるいい顔してますね。匂いをたどってストーキングする様子はけっこう怖い。一部ではナイナイの岡村似などと言われているようですがw

ストーリー的にも原作既読者でもほとんどが納得できる出来だったんじゃないでしょうか。尺が二時間半近くあって、けっこう長いんですが、ストーリーを知っていてもまったく退屈することなく画面に集中できました。

ただ、クライマックスでプラム売りの子の幻影を見るところだけ、入れた理由はわかるんだけど、いらなかったなあ。


香水―ある人殺しの物語 香水―ある人殺しの物語
パトリック ジュースキント (2003/06)
文藝春秋

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こちらは原作本。一気読み必至のおもしろさ。
殺人者の話ということで、ミステリーと思ってしまいそうですが、さにあらず。以前モダンホラーの解説本に紹介されていたこともあったし、ジャンルが特定しにくい話だけれど、私は一種のファンタジーとして読みました。
ものの本によると、匂いを嗅ぐ能力が高いといわれる犬の鼻は、人や動物の体臭には敏感でも、たとえば花の香りなどには、それほどの力はないそうです。主人公グルヌイユはあらゆる匂いを嗅ぎ分けて情報として処理できる能力があるので、まさに犬以上。X-menの一員でもおかしくないw


どうでもいい話だけれど、私は鼻全体を自由に蠢かすことができます。匂いを嗅がなくても動く。誰でもできるのかと思ってたら、できる人って少ないみたい(ほんとにどうでもいい話だ)。

  1. 2007/04/07(土) 20:57:19|
  2. 映画/テレビ
  3. | コメント:0

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